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とことこ編集者雑記

47歳バツなし独身乙女座A型トイプーふたご飼い。出版社勤務ですが編集部門から離れた、のか? とりあえずはてなブログにお引っ越し

私が漫画編集者を降りた理由

ハイ、結論から言いますと「人と向き合えなかったから」です。
終了。


……。


もう少しちゃんと書くと。自分は漫画にはそこそこ詳しいし、好きだし、
だから漫画の編集者なら、できるんじゃないかと思ったし
やってみたいとも思っていました。他のジャンルの編集者になる気はまったくなくて。
で、一般誌を経て他社に転職。念願の漫画編集者として別の版元に採用されました。
入社して3か月くらいで、幸運にも他社で描いておられた漫画家氏の連絡先をゲット、
自社としては初めての担当者としてお会いできることになり。
最初の顔合わせでは、お互い年齢が近いこともあってか「○歳の頃は×を読んでました」
てな話で盛り上がり、大変友好的な関係を結ぶことができました。
ほどなく「おためしゲスト」の話になり。他社で描かれていて、休刊になったため
宙に浮いていたシリーズ作を引き取ることができて。それから2か月くらいして、新連載を
立ち上げることに。そして、氏からネームが。「こういうお話、考えてたんですよー」と
言われて見たものは。……イイ、いやイイけどダメ。その人らしいインナーワールドの
持ち味でしたが、いかんせん掲載誌のカラーにそぐうものではなく。
どうする。リテイクをお願いするしかないよな。これが今のウチの雑誌に載るってことは
ありえない。でも「この人らしさを否定する」くらいだったら「じゃあどうして
自分に『描きませんか?』って声をかけたのか」ってことになるよな。
いやいやいや、キャリアや人格を否定するような動きじゃないから。
単純に、読者ターゲットにフィックスしないってだけだから。
ここで、もう少し対人スキルがあれば「社内の人間を説得して掲載→この作品に
ペン入れしてもらう」という流れに持っていくこともできたはずでした。
確か当時、同じ班の一番信頼できる先輩にはラフを見せた記憶があります。
しかし「うーん、ちょっとコレは難しいかな」という判断。
入社して比較的日が浅かったせいもあり「ですよね…」と引き下がりました。
結果的には「この設定だとちょっと既存の読者層になじまないというか、
もう少し××な風にアレしていただいて(詳細はナイショ)」云々と、
説得にかかっているような逃げているような、苦しい申し出に終始。
漫画編集者の私よりは長く、漫画家としてのキャリアを積んでいた氏は
「わかりました」と申し出を受けてくださり、最終的にはオーダーにかなり近い形での
作品を描いていただくことができました。……めでたしめでたし?


イイ、いやイイけどダメ!


それまでやっていた雑誌のジャンルよりは100倍も1000倍も好きなジャンル。
ようやく念願かなってたどり着いたその地は「漫画が好きだから
漫画の編集者になる!」という気持ちだけではとても務まらない場所でした。
人と対峙する機会から逃げられるだけ逃げ続けて、漫画の世界で
安らぎを得、ツライ現実を一瞬でも忘れ、キャラクターの姿に励まされもし
「自分もこんな物語の作り手や、そのお手伝いをする立場になりたい」と
思ったのが漫画編集者を目指した動機だったのに。その現場に入ってはじめて
「人と向き合い、衝突することを避け続けたツケ」がのしかかってきました。
キライなヤツ、ムカつくヤツとなら戦える。でも、自分が大事に思う人に対して
否定的なニュアンスの言を述べることができない。これは想像以上にストレスでした。
いやいやいや、キャリアや人格を否定する動きじゃないから。
ダメ出ししたからって、私のことキライになったりしないから……たぶん
(場合によっては、新人さんで本当にわかりづらいものであったりということもありました)。
趣味で娯楽だったけど、コレで金をもらっている以上、今は「ビジネス」だから。
前のジャンルなら「ビジネスライク」に、キャプションにダメ出ししたり
リードを書き直していたりしていました。思い入れがないといえばなかったからですが
その分、対象から距離を置いた視点で物を見ることができていたのかな、とも思います。
「好きなこと」と「できること」は必ずしも一致しない。
転職して半年、27歳になったばかりの自分の実感でした。
不定期でつづく。

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