まずは公式のインタビューを読みましょう!
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はい。コミックスのラストに描き下ろしのエピローグが入り、
第1話の立石家が登場します。コミックス発売の2023年10月を基点として
ウィキを駆使して裏取り。早生まれではない設定で算出。
<第1話>
立石朱里(子)=2024年5月には高校受験が終わっているそうなので2008年生まれ。
立石環(妻)・周(夫)=中3の時に「周がクラスメイトの松山(野球部)から
『モンキーマン』というコミックスを複数巻借りる」描写あり。
これは「ゴリラーマン」(全19巻)のことかと思われ。
コミックスは89(平成元)年~93(平成5)年刊行。
「借りた分全部読んだよ」とあり、
複数巻出ているのは92年(11巻~)と、後年の方に可能性が出ます
(実際の貸し借りは完結後でもおかしくなく)。
つまり、この夫婦は77(昭和52)年以降生まれ。
コミックスが単行本ではなく文庫の可能性もありますが、
子供はいきなり漫画文庫は買わなかろうと思われ。
<第2話>
鈴森環・西園寺周(高等女学校のクラスメイト)。
周が高女を中退して結婚後、一年経って書いた手紙の日付が
「明治三十某年」(1897~1906年)。
高女5年=17歳になる学年なので、運動会が5年の時だとしたら
1880(明治13)~89(明治22)年ごろ生まれ。
実際の高女ブーム=1920(大正9)年に高女進学率9%→
1925(大正14・昭和元)に約15%でここが上限になったとのこと。
<第3話>
宮原環(元看護婦。「30代半ば」とインタビューで出ました)。
馬渕周(101号室に住む未就学児)。
映画「エイリアン」(日本公開は79年7月から)、
ピンク・レディー「UFO」(77年12月発売)。。
まぁ「エイリアン」は映画館で上映されている描写で季節的にも合っているので
舞台は79(昭和54)年でしょう。
環は1945(昭和20)年生まれの34歳あたり。
周は2歳で不調→(両親離婚)→101号室に入居して2年。
70年代の幼稚園は基本2年保育なので5歳・6歳になる学年で通います。
なので73・74(昭和48・49)年生まれかと。
この辺ふわっと「70年代後半」とのことですが「79年のUFO歌唱」は
物心ついていた人間として若干気になります。
当時はスターは常に最新の持ち歌を歌っていたものなので。
時期を生かすなら「ピンク・タイフーンを歌うピンク・レディー」or
「魅せられてを歌うジュディ・オング」。あるいは「UFO歌唱」を生かすなら
映画は78年公開の「スター・ウォーズ」なんじゃないかなーと。
いやいや78年初夏なら「サウスポー」が最適なんですが。まぁディテールでした。
<第4話>
白鳥環(復員兵。鮫島の上官)。
鮫島周(復員兵。元二等兵)。
周が落ち着いてからの環境は21年下期の朝ドラ「カムカムエヴリバディ」の
喫茶店『Dippermouth Blues』のマスターを彷彿とさせます。世良公則。
しかし生年の手がかりがほぼありません。
二等兵と班長…。いくつ違いだ。2~3歳差くらいかな。
周の子供が戦後すぐに亡くなった記述があり、写真では未就学児っぽかったので、
終戦時にアラサーあたりでしょうか。
つまり1910(明治43)年生まれの34歳~19(大正8)年ごろ生まれ25歳の間。
<第5話>
杉原環(元武士。今は江戸で手習師匠。周とは幼なじみ)。
斎藤周(旧姓は西園寺。家禄三百五十石の側用人・斎藤家に嫁ぐ。玉の輿)。
今度こそ手掛かりなし。まぁ仇討ちありなので江戸時代。。
では時系列に並べ替え。「転生」が明言されたので、
だいたい皆さん年若くして亡くなっていることになります。切ない。
<第5話>江戸時代の武家の幼なじみ※扉は縁側で白玉を食べる2人を鳥観視点で
<第2話>1880(明治13)~89(明治22)年ごろ生まれの女学生※扉は2人の後ろ姿
<第4話>1910(明治43)~19(大正8)年ごろ生まれの復員兵※扉は環の全身横
<第3話>1945(昭和20)年ごろ生まれの独身女性と
73・74(昭和48・49)年生まれの幼児※扉は周の横顔見せ肩なめショット
<第1話>1977(昭和53)~生まれの夫婦※扉は親子3人、正面から
確かに、2・3・4話は「環から周に声をかけて」物語が始まっています。
性別はまちまちですが、ザックリ見ると最初の2人(第5話扉)が変遷を経て
第1話でついに夫婦となり、子供にも恵まれる。
ただ、私は第1話の周のモノローグが諦念混じりのようにも思えて
反抗期娘に頭を悩ますミドルエイジ夫婦の話が始まるのかと思ったら
全然違いました…。これはエピローグを読まないと氷解しません。
帯には「16年ぶりの最新作」とあり、調べたら
「フラワー・オブ・ライフ」の完結が2007年でした。が、
1冊完結の連作集というと「愛すべき娘たち」(03年刊行)を
連想する方が多いのではないでしょうか。あの時はヒロイン雪子(30歳)から
スタートする、ほぼ同世代間での現代(当時)のリレーオムニバスでした。
今回の1冊は「大奥」→「きのう何食べた?」の間をつなぐ、市井の人たちの物語。
第1話の扉はほかに比べてここだけが、3人が幸福感に瞳を閉じている表情。
「今の日本が一番幸せで、その幸せに向かって私たちは歩んできたのだ。
そしてこれからも」という感慨を勝手に抱きました。
第2話・女学生は抑圧の中を生きたし(周の夫がいいキャラでした)、
第4話・復員兵は言わずもがな。
第3話はネタバレできませんが本当に悲しい話。
そして掲載順としては最後に配された第5話はノーコメントで…。
エピローグまで読んで、第1話に戻って、またエピローグを読んで。
よしながさんは物語の幕引きが本当にうまい。
同日発売で「きのう何食べた?」最新刊&レシピ本と、そちらに
よしなが予算を費やす方が多いと思われますが「環と周」、読み応えありました!
発売日夜に長文を書かずにはいられないほどに。この項終わり。