読んだもの雑記

主に漫画の感想を書いていきます

十九歳の地図、初夏

本人から了解を得たので、
サグチくんの7/5の日記
文末などいじりつつ、転載。



今日は取材先で偶然、上京1日目の沖縄県人男子と話をした。
電車の路線がむずかしいと、路線図を見つめる横顔。


「その路線図、JRだけのじゃん?」


「地下鉄はまだ無理です。
 まずはJRからで。
 ところで、この路線図の先も電車は走ってるんですか?」


……!
これはもう、一篇の詩だ!
少年の倍の歳月を生きてきた自分にはもはや、創作でもこうは書けない。
いやむしろ「創作じゃ書けない」という表現の方が正確か。
まー書いたのは青年サグチだが。
念のため、運輸営業用としては戦後初となる沖縄都市モノレールが
那覇市内に開業したのは2003(平成15)年8月。
終戦以降、正確に言うと沖縄戦直前以降、長らく沖縄に電車はなかった。
「彼」が地元で利用していた駅は出口がひとつしかなく、
新宿駅はずいぶんと広い場所に感じられたのだそう。
まだ汗ばむ少し手前の、湿気をはらんだ風が吹く季節。
これから、どこまでも広がっていく路線図を手に、雑踏の中たたずむ少年。
まぶしい景色を見たような気がした。
少年と青年の、行く手に幸あれ。