読んだもの雑記

主に漫画の感想を書いていきます

独女はつらいよ・夜霧にむせぶ契約社員

「独女はつらいよ」。それは、その独女=独身女性が働いているとして、
大概の同世代の男性よりも低賃金であることが、まずツライでしょう。
00年刊行の新書ですが熊沢誠「女性労働と企業社会」(岩波書店 )。
この本は特に独身女性にターゲットを絞ったものではありませんが、
女性の雇用状況についての概要がわかるデータが多く挙がっています。
バブル崩壊以降、寿退社はややレアケースとなったかの印象がありますが、
基本的には出産を迎えて退職し、子育てに専念する「キャリア計画一時型」、
ま「M字型」ってヤツですな、そのパターンに吸収されていきます。
育児休暇を取って働こうとする場合でも、非正社員への転換を迫られる
(また、その処遇を歓迎する旨の談話が載ってたりもするんだ)(昨年からの
少子化問題で、育児休暇についての法改正がいろいろありそうな気もしますが、
どこまで適用されるんだかと懐疑的。※05年から、契約社員 も条件付きで
育児・介護休業法が適用されるようになりました。とはいうものの、働く女性の
 過半数が非正社員である現状、無期雇用とほぼ同様の状態で契約更新を続けていたと
しても「契約期間満了」という形で、解雇されるケースが多いようです。この記述は
5/23の朝日新聞 より抜粋していますが、中には24歳→38歳まで1年更新を
14年間(!)重ねた末に「次の更新はしない」と通告され、東京地裁 
提訴中の方のケースが紹介されています。7/29追記。
で「総務庁労働力調査 特別調査」の雇用形態別雇用者構成によると
86年に女性正社員67.8%・非正規従業員32.2%の比率が
99年においては正社員54.8%・非正規従業員45.2%と推移します。
ちなみに男性は正社員92.6%・非正規従業員7.4%→正社員88.9%・
非正規従業員11.1%と。
…「正社員・非正社員 」「既婚女性・独身女性」、加えて「均等法前世代
(86年以前に卒業)・均等法世代(87〜90年に卒業=バブル入社世代ですな。
自分も一応ここ。転職続きだったので恩恵を存分に享受したとは思ってませんが、
ギリギリ「第二新卒 」で出版社に転職。後続の世代から見れば「チャンスが
あるだけでもまず、うらやましい」ということになるかと。ま、確かに)・
 バブル崩壊後世代」という世代間の変遷に加え「中卒・高卒・短大卒・大学卒・
院卒」という学歴のバイアスがかかり、それは「育った家庭の階級」とも
うっすら関係してくる、という。
そう簡単に単純化 することはできませんが、とりあえず樋口美雄 ・太田清・
家計経済研究所編「女性たちの平成不況」(日本経済新聞社)より、25歳時に
未婚であった女性の有配偶率をフリーター経験者と正社員経験者に分けて
比較すると、30歳の時点で正社員経験者の6割が結婚しているのに対し、
フリーター経験者の有配偶率は5割を切る、と。これが40歳になると
正社員経験者の85%に対し、フリーター経験者の有配偶率は70%を切るという。
もうね。泣きそうです。ダメな奴は何をやってもダメってことですか。
住宅購入については逆説的なようですが、男女を問わず経済的弱者であるほど
「せめて家だけは」となる可能性が出てきます。というか、自分はまさにそれ。
「老後資金が潤沢にあるのなら、何の問題もない。高額所得者ではないから
居住の安定を切実に求める。雇用の流動化が進んでいるからこそ、せめて
誰からも「出ていけ」と言われないマイホームを持ちたい、となるのだろう」。
これは島本慈子「住宅喪失」から。少子化+団塊世代のリタイヤで、賃貸住宅は
余剰化するという説も聞きますが、自分の祖母が連れ合いを亡くして8年間、
91歳になるまで一人暮らしの一戸建てユーザーだったことを思うと
「いずれは余るだろうが、そりゃいったい何十年後のお話なのよ」と思いますね。
長くなったので、今日の分はこの辺で。つづく。