読んだもの雑記

主に漫画の感想を書いていきます

新独女はつらいよ・花も嵐も契約社員

話が飛ぶようですが。「おひとりさま向上委員会」発足当時の代表・岩下久美子が
実は既婚者だと知った時、なんとなく「……そうなんだ。」と思ったものでした
(しかし寡聞にして、お名前を存じ上げた頃に突然の急逝。注目が集まってきた
矢先の出来事に、大変驚きました。ご冥福をお祈り申し上げます)。
「<非婚>のすすめ」の著者・森永卓郎が既婚者だったというのを知った時も
(略)。乱暴に言い切ってしまうと「とか言って、自分はその立場にいなくたって
いいじゃんか。つかむしろ言動不一致やん」という印象が、私の胸の中に靄を
残したのでしょう。
その意味ではやはり、酒井順子のある意味すがすがしい言動にシンパシーを
感じざるをえませんでした。リアルな自分の立ち位置から発言しているという
点において。もちろん、すべての「30代・未婚・子なしの独身女性」の言い分を
カバーしているわけではありませんし、そんなことは出来ようもないのですけれど。
で、なんで↑このような話をマクラに持ってきたかといいますと。
つまり、この2日分の日記の流れから予想される主張とは「独身女性だって
マンション買ってもいいじゃない。現に私はこうして自分の家をゲットしたわ!」
てなところではないかと。
……いやむしろそうではなく。これからマンションを買おうとお考えの独身女性は、
よほど個人的にアドバンテージとなる条件をそろえられた時のみGOサイン、
とした方がよいのではないか←おまえ、自分はマンション買っといて、他人には
「買うな」って、どういうことだよ!という、言動不一致な行状を、これから
つらつらと書き連ねようと思っているのです。以って他山の石ならず。
自分がマンション購入に踏み切った際のアドバンテージは「50㎡未満だけど
公庫適用可物件だった」「しかも当時は公庫最低金利だった」加えて「結婚は
できないかも」「現時点ではお金のかかる趣味(例・海外旅行、車、エステ)を
持っていないし」「留学もしない、起業もしない」などなどの諸条件→こりゃ
当分貯金を使うあてがないや、といったところでしょうか。
いやー……「マンションは買ったけど、それだけで『一生独身主義者』と
思われるのは心外」という文言を見ますが、先の人生にイベントの用意がある人は
可能な限り現金を手元において置いた方がよいのではないかと(自分、頭金+
諸経費+オプション・インテリア代を差し引くと残金は100万円程度になる予定。
ちょっと少ないかと思われます。少なくともファミリーだったらこれでは足りない)。
まぁライフステージのプランは個々人の自由ですので小さなお話です。
ですが、以前この日記にも名前を挙げましたが島本慈子「住宅喪失」(筑摩新書)を
読み返すと「マイホーム推進政策→『貧乏人は家を買うな』への政策転換」へと
舵取りされている様がうかがい知れます。具体的には、公庫の廃止ですね。
今日の日記の表題にも掲げましたが、自分は出版社の契約社員として勤務して
おります。こうして日記内に改めて書き出すのは初めてですが。社内でも正社員に
比しての不利益はあります。当然。ただ、現状ではとりあえず、その不利益を
折込み済みで働いています(納得はしていませんが)。
で、36歳独女はアサハカにも考えたわけです。「もし今の会社をリストラ
されたら、自分の希望に沿うような住宅ローンを独力で組むことは、二度と
できないだろう」と。もちろん正社員だからといって、安心できるようなことは
ありません。が、彼らに比べて「退職金が出ない」という確定的な未来は、
生涯賃金の目鼻が付けやすいという側面をもたらすことにもなって。
「じゃ、借金できるうちに借金しちゃおうか」というのが、私がマンション購入に
踏み切った最も大きな理由です。たぶん正社員だったら買わなかったでしょう。
ちなみに!公共政策の一環として設けられた住宅金融公庫 は、一定の条件さえ
クリアすれば職業は問わず、正社員でも派遣社員でも融資が受けられたのに対し、
民間金融機関は弱者に対し融資拒否あるいは金利の割り増しを以って臨むという
例を散見します。公平性を欠いた「機会不平等」現象のほんの一端、
なのでしょうが。長くなったのでつづきは明日。女子大文学部卒が考えた
「今はこれがせいいっぱい」です、どうぞ笑ってお読み飛ばしくださいませ。