読んだもの雑記

主に漫画の感想を書いていきます

独女はつらいよ・マンション慕情編

6日めとなりました「独女はつらいよ」。そもそもこの編は、未来に夢も希望もある
若いカワイコちゃん(谷川俊太郎風)に読んでいただければというのが
本来の目的でした。が、引用引用の嵐で、想定読者層に届いているのかどうか、
だんだん不安になってきました。これまで引用してきた内容というのは
1.「若い(特に20代)」女性はあらゆる労働者と比べて、仮に正社員であっても
2.「低賃金」の傾向にあり
3. 採用抑制によって「非正規雇用の立場」である可能性も高い。
加えて、
4.不安定な雇用条件でも融資を受けやすかった「住宅金融公庫が廃止方向」の
憂き目に遭い、かつ
5.「長期金利が上昇しはじめている」上に
6.「民間金融機関では、リスク回避のため『更なる金利上乗せ』あるいは
『融資拒否』に処される可能性もある」。
どれひとつとして、プラスのカードがありません。ま、融資拒否されたら実質、
購入は無理ですが。
なのにどうして、独身女性のマンション購入が増加傾向にあるのか。
それは7.「供給物件数が増えたから」。購入の後押しとなっているのが
8.「賃貸住宅の家賃並みの金額でマンションが買えるから(35年ローンだけど)」。
7についてはあくまで売り手側の都合です。02年に東急不動産がコンパクト
マンション(20〜60㎡)販売に手をつけてから本格的に市場が広がったかのよう
ですが、本来は90年代前半、バブル期に中規模メーカーが余ったワンルーム
2戸分をまとめて2DKで売り出したのが最初だそうですね。
で、主力のファミリータイプ(3LDK)の売れ行きが翳った頃に、景気の動向に
あまり左右されない、可処分所得の高い独身女性やDINKSが購買層として
相対的に浮上。また、ファミリータイプとは周辺環境に求めるものが異なるので、
たとえば幹線道路沿い、商業地、準工業地域であってもブランド力のあるエリア
であれば(例・銀座)、商売になる。晩婚化の波と合致したのはマンション業界に
とって追い風でした。7については一部03年12月22日号「AERA」より引用。
8については「賃貸住宅の家賃に抱く割高感」が反転して「じゃ、いっそ
思い切ってマンション買っちゃえ!」という現象になっているような気がして
ならんのですよ。7も8も、買い手ありきのポジティブな要因とは思えません。
自分もポジティブとは言い切れない要素を逆手にとって購入に踏み切ったくらい
なので、本来、他の独女のマンション購入を止められるような立場でもないの
ですが。ですが「頭金を29.6%納められたこと」「借入額が税込み年収の
3倍強なこと」と比較的冒険をしないローン返済計画に加え、くどいようですが
「史上最低金利時期に乗っかれたこと」が、自分なりに「このタイミングなら
買ってよかったかもね」と落としどころを見出せるポイントでした。まだ
マンション供給ブームは続くようですが、特に金利上昇のことを考えると
独身・既婚に係わらず「最適期は過ぎてしまったのでは?」という印象。
「たった1年の違いが!」「去年までなら楽勝だったのに!!」、この手の環境の
激変は、91-92年の就職戦線の推移を目の当たりにした世代としては、
残念ながらありうるお話かと。賃貸住宅がもっと良質で、かつ安価に借りられたら
よかったんですけどね。「黄金の羽根」では「賃貸だって居住権を存分に
行使すればいい。今、公団住宅の住民だって居座り続けているではないか。
わざわざマンションを買ったりしなくても、死ぬまでそこに住み続ければ
勝ちである。だから住宅は購入する必要がない」と読んだような記憶が
ありますが、そういう住まい方は人としてどうなんだ、と。つづく。
明日でラストです。