読んだもの雑記

主に漫画の感想を書いていきます

「ジャンプ」感想

そろそろ図書室(=本当はシューズクローゼット)が
いっぱいになってきたので本を整理することに。
途中、出てきたのが表題作。
この作品も「秘密と嘘」を巡る物語。
あるいは
「バーニーズ・ニューヨーク横浜店の香水売り場で出会い、
そのまま山下町の喫茶店でお茶を飲み、それがきっかけで付き合い始め、
半年後のある日曜日、中華街で晩ご飯を食べ、
元町のバーでカクテル『アブジンスキー』を飲み、
酩酊したまま彼女の家に泊まり、
いつもの日課である朝食のリンゴを買いに出かけた彼女が
笑顔で『5分で戻ってくるわ』と言ったきり、
失踪してしまう話」でもあります。
山本文緒の解説を引くと。
「『もしも』の話。もしもあのときああしていれば、
もしもあのときあれをしなければ、と
過去への執着の話」。
本の雑誌00年ベストワン。04年映画化。
文庫化にあたり山本文緒が解説を書いたというので、
それをきっかけに手に取りました。
02年10月。直木賞受賞後約1年の後に再婚し、
それから約半年後のあたりで書かれたものかとおぼしき解説ですが、
ご自身のプロフィールにひきつけた内容になっていて
「ほほー」と唸りながら読破した記憶あり。
私自身は、失踪したヒロインの方に共感しましたが。
ミーハーなので、実際にバーニーズ横浜店に行って
「デュエンデという名の香水を探してるんですが」と
訊いてみたことがあります。
ちなみに山本文緒は
「東京のバーで実際にアブジンスキーを飲んでみた」のだそう。
香水は残念ながら、お取扱いはありませんとの由。
検索してもヒットしなかったので「架空?」と思いきや、
今回日記を書くにあたって再度検索。実在しました!
DUENDE、スペイン語です。意味を調べて、また「ほほー」。
主人公にとっては、いずれの女性もDUENDEだったということか。
おっとネタバレ危険につき、このあたりで。
アマゾンを見てみると、映画もよかったみたいですね。
いずれそのうち。
最後に冒頭を引用。


だから、僕はやはりこんな語り出しで物語を始めたいと思う。
ときに一杯のカクテルが人の運命を変えてしまうこともある。
僕はあの晩、聞いたこともない奇妙な名前の、
強烈なカクテルを飲んだことを
いまだに後悔している。