読んだもの雑記

主に漫画の感想を書いていきます

「フラワー・オブ・ライフ」完結 感想 その3

2巻P105より。


「貸して! 原稿用紙半分に切って作業しよう
 その方が早いから」


4巻の加筆修正ではまさに↑この作業が行われたのであり、その理由は2巻P102


「セリフを変えるんじゃねえんだ ただコマのテンポっつーかえーと…
 セリフを言うタイミングを変えたいだけなんだよ
 …そしたら翔太の考えた ここのセリフがもっと 生きてくると思ったんだ 
 ここすごくいいシーンだからよ」


という春太郎のセリフと重なることは明らかでしょう。
もっとも、よしながさんは漫研所属の高校生ではなくプロなので
1最終話のエピソードを際立たせるようなセリフを追加した上で
2タメ(=間)を作ってキャラクターの感情を深く表現し
3箱割りも整える
という、加筆による一石三鳥の結果を手にしています。
この加筆作業自体が「リアル『フラワー・オブ・ライフ』」です。
そこから、よしながさんが漫画を描く時は
「よしなが翔太」と「よしなが春太郎」が脳内で対話しながら
作品を仕上げているのだな…と想像します。なんだかステキ。


ここから先は、本当に蛇足。
美内すずえが「オリジナル作品で描こうと思った」というストーリーが
作中劇として「ガラスの仮面」に取り込まれていったように
(「ふたりの王女」でしたっけ?)、
「作中話」も、作者が考える世界観を示すものであると考えてよいかと。
特にオリジナルなら。
さて。「フラワー・オブ・ライフ」内の作中話は5編。
1武田さんの「ルイジアナにひな菊咲いて」(作中では未完)、
2その外伝の「名残りの雪」。
3春太郎&翔太「ナイフの妖精のお話」、
4「イベント合わせの同人誌」
5投稿作「ドラッグストア」
6投稿作パート2「明日、北原書店で」
うち、完結していて、感想が語られているのは23456。
6については「いい作品だと思っているんだ」という感想なので、
話の内容までは不明。
2345をゆる〜く見てみると
「自分を変えるような出会いがあり(2・3、4も?)」
「その過程で葛藤があり(234)」
「出会った人と別れ、元の自分に戻る(234)」
「平凡な高校生の日常(5、6も?)」。
…このような傾向と、春太郎の予後を重ねてしまいますね。私は。
3について、春太郎は言います。
「…そっか 悲しい話なんだ でも俺も 戻ってこない方が 俺もいいなあ…」
4についてはこう。
「ん! でもこれハッピーエンドだ! いいラストだ!」
だから、たぶん「フラワー・オブ・ライフ」も、そういうお話なのでしょう。


さーて、これからあちこちの感想を見てまわりまーす。
ここまで読んでいただきまして、ありがとうございました!