読んだもの雑記

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雨雲の上は満月

叔父、逝去。夕方でした。
仕事をひと区切りつけ、斎場に。母・兄はもう駆けつけていた。
昨年5月に祖母を送ったのと同じ場所だ。
当然、その時には叔父も参列した。
まさか、こんなに早く、自分が、同じ斎場から送られるとは
想像していなかっただろう。
そんなことは誰にもわかるわけがなく。
叔父の兄弟とは、この容態の急変で初めてお会いした。
かねてより「戒名もいらない、念仏もいらない」とのことで
本当に身内だけの「お別れの会」になることに。
無宗教の葬儀。初めてだなー。
「でね、生前よく聴いていたCDを流すっていうことだけど、
落語好きだから『志ん生かけてくれ』って」と叔母。
志ん生…。
恥ずかしながら、ちゃんと聴いたことがありません。不勉強。
いったい、どんなお式になるのか、想像もつきませぬ。
好奇心として、興味深い。
斎場を出たのは夜9時半ごろ。
雪になるかと心配された、涙雨がもうあがっていた。

最後の3日間は辛そうだったが、最期は安らかだったとのこと。
横たわる叔父に、母と一緒に手を合わせると、さすがに泣けてきた。
土曜日、病院から帰る電車の中で兄と話した。
「なんか『今まで遊んでくれてありがとう』って
言いそびれたなーと思って」
すでにこの日はもう、会話ができる状態ではなくなっていた。
「いや、それ言っちゃうとホントにお別れみたいだからダメだろう」
「あ、そっかー。どうすればよかったかなー」
「オレは前回『○ちゃん(叔母)のことは心配しないでね』って
先生に言った時に『あ、もう亡くなるんだな』って気持ちを切り替えたぞ」
「ああ、そっか、相手の不安を取り除くことなら、
言っていいんだ。『今までありがとうね』的なことは、
言わなくても、伝わってる…かな?」


伝わっていてほしいと願いつつ。
画像は、夏の旅行で叔父が摘んでくれた野の花の花束でした。
私の最初の叔父の記憶は、まだ小学校に上がる前、
みんなで山歩きをしている途中に
「あの枝がキレイ」と言ったら、
叔父が枝を折ってくれようとして(30年以上前ですんで)、
周りの大人一同に「先生、かぶれるかぶれる」と止められていたこと。
その枝とは、ウルシだったのです
(「かぶれる」ってなんだ?と思ったので記憶に残った)。
兄が何度も話す叔父のエピソードは、
やはり兄にバッタを取ってあげようとして
ズボンのお尻が真っ二つに破れたこと。
兄の目の前でビリッとなり、すげービックリしたとか。
幼い頃の思い出は、いつも私たち兄妹を
喜ばせようとしていた記憶ばかり。
優しい叔父でした。合掌。